1: yomiφ ★ 2013/12/03(火) 21:44:55.70 ID:???
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■元祖アキバの女王」に聞いてみたかったこと

最後に秋葉原について語っていただきたい人物がいます。「元祖アキバの女王」と呼ばれる、歌手で声優でもある桃井はるこさんです。
子どものころから秋葉原に通い続けて、変わりゆく秋葉原を眺め続けてきた桃井さんは、秋葉原での路上ライブをきっかけに歌手となり、
秋葉原で夢を実現させました。秋葉原への愛情が詰まった自叙伝『アキハバLOVE~秋葉原と一緒に大人になった~』を
2007年に刊行された桃井さんに、それ以降の秋葉原とこれからの秋葉原について考えていることを伺いました。

【梅本】2007年に『アキハバLOVE』を刊行されてから秋葉原も移り変わりがありました。
この本を書かれたあとの秋葉原について感じていることを聞かせてもらえますか。

【桃井】『アキハバLOVE』を出したあと、私にとって秋葉原の印象が大きく変わった出来事があるんです。
2008年6月に起きたあの事件(注:秋葉原で起きた無差別殺傷事件)です。『アキハバLOVE』の表紙では、
歩行者天国の真ん中で思いっきり笑っている私ですが、あの事件のあとは、もうこんな笑顔はできないと今でも感じています。
それまでの秋葉原は、私にとって楽しい記憶しかなかったところでした。つらいことや悲しいことがあっても、秋葉原に行くと
楽しい気分になれました。私にとって秋葉原は、日常から切り離されたところだったんです。
ところがあの事件が起こってから、秋葉原が現実の世界になってしまいました。秋葉原で以前のように
手放しで楽しくやっていてよいのだろうか、でも前を向いていかなければと思っています。

【梅本】あの事件のあと、桃井さんはすぐに事件現場に置かれた献花台を訪れ、その時の気持ちをブログに書かれていましたね。
あの事件をきっかけに、秋葉原で長年続いていた中央通りでの歩行者天国が中止になりました。再開できたのは2011年1月。
でも、その直後に東日本大震災があり、またしばらく休止になりました。

【桃井】2011年3月の震災も、私にとって秋葉原を夢から現実に引き戻した出来事です。当時、石丸ソフトの最上階が秋葉原で
一番大きなイベントスペースでした。高校生の時からアイドルファンとしてそこに通っていて、自分がデビューした時もそこで
お披露目イベントをやらせていただきました。CDや出演しているアニメのDVDが出るたびに、イベントをした思い出の場所です。
2011年3月末で閉店することになって、石丸ソフトのさよならライブに私も出演する予定だったのですが、
直前に震災が起こって、私は出演を見合わせたんです。私にとって大切な思い出の場所をきちんと見送ることが
できなかったことは残念でしたが、こんな時に秋葉原でステージに立ってよいのかと考えました。

【梅本】大震災のあと、今の秋葉原はどう見えますか?

■女の子たちにとって今の時代は残酷

【桃井】最近の秋葉原で感じるのは、ニコニコ動画が普及してから、秋葉原に来る女の子たちが変わってきたことです
。ニコニコ動画には、初音ミクのようなボーカロイドに歌わせた自作の歌がよく投稿されるのですが、
「今日の私は可愛いのよ」という感じの自己肯定をした歌が目立ってきました。その歌詞に共感できるような、
素直な女の子が最近増えてきましたね。昔は、学校の友達や周りから理解が得られないために自己肯定ができない、
どこかコンプレックスを持った人たちが集まり、癒されるところが秋葉原だったのですが、そんな鬱屈した時代は終わったのかもしれませんね。

【梅本】確かにメイドカフェも、以前は、学校では普段あまり目立たないような女の子がメイドさんに変身して
輝ける場だった気がするのですが、今では、「私って可愛いでしょ?」と自己肯定ができる女の子が
活躍しているように感じますね。女の子が自己肯定できる今は、明るくなって、いいことじゃないですか。

【桃井】私は、その半面、女の子たちにとって今の時代のほうが残酷だと思うんです。自己表現をできる場があるぶん、
ネットの動画の再生数など、数字で露骨にレッテルを貼られやすい。せっかく勇気を出して表に出てみても、誰からも相手にされずに、
せっかく話題になっても顔を出せば外見などを叩かれ、打ちのめされた気持ちになる子も多いのではと心配します。
私はいつでも傷ついた女の子の方に目が行ってしまいますから。
そんな中でがんばっている女の子は応援したくなってしまいます。

>>2へつづく)
http://president.jp/articles/-/11378

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